繊維生産がASEANにシフト 米中貿易摩擦で加速も=岩下祐一
有料記事
中国の繊維大手が、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国連合(ASEAN)に生産拠点を着々とシフトしている。米中貿易摩擦のエスカレートにより、この動きがさらに加速する可能性がある。
米中両国は昨年12月1日に開いた首脳会談で、米国が予定していた2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に対する制裁関税を10%から25%に引き上げるのを90日間猶予すると決めた。中国による知的財産権保護や技術移転問題などを巡り、両国が妥協点を探っている。3月1日の期限までに合意できなければ、米国は予定通り関税を引き上げる見通しだ。
中国にとって、繊維産業は外貨の稼ぎ頭だ。中でも最大の輸出先は米国で、2017年の対米輸出額は約454億ドル(約5兆円)に上る。内訳は、アパレルが約330億ドル(約3.6兆円)、素材などが約124億ドル(約1.4兆円)だ。ただ、アパレルは米国がこれまで発動した約2530億ドル(約28兆円)相当の制裁関税品目に含まれていないため、中国の繊維産業への影響は今のところ、限定的だ。
残り1039文字(全文1484文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める