米は規制せず、EUは技術使えば規制=立川雅司
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2018年は、ゲノム編集技術と社会との関係を考えるうえで、おそらく分水嶺(ぶんすいれい)となった年ではないか。特に筆者が専門とする食料生産分野においては、世界的に重要なさまざまな出来事が起きた。
まず、世界で初めてゲノム編集された作物(高オレイン酸大豆)が米国で商業栽培された。3月には、米国の農務長官がゲノム編集によってDNA(デオキシリボ核酸)の一部を失わせたり、一部の配列を置き換えたりするなどの新たな植物育種技術に関して、規制対象としないという方針を公表した。
数カ月後の7月、EU(欧州連合)では反対に、ゲノム編集など新規の突然変異誘発技術を規制対象とする欧州司法裁判所の裁定が下された。米国とEUとはゲノム編集に対して、まったく異なった規制方針で臨むことが決定的となった。日本でも規制の検討が本格的に始まった。
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週刊エコノミスト
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