テクノロジーゲノム編集で食は安全か

4年でマダイの新品種 遺伝子の一部破壊は規制対象外へ=石堂徹生/編集部

左の「肉厚マダイ」は明らかに身が厚い(329日齢)(木下政人助教提供)
左の「肉厚マダイ」は明らかに身が厚い(329日齢)(木下政人助教提供)

 通常(野生)のマダイと比べて、身が厚い品種の「肉厚マダイ」。今春には、初めて出荷サイズの0.8~1キロまで育つ。

 品種開発のヒントは、突然変異で生まれた筋肉隆々の肉牛2品種にある。欧州でヘルシーな赤身肉として広く流通。1997年、この2品種の筋肉の発達は、「ミオスタチン」という遺伝子が働かない点にあることが米国の研究で分かった。ミオスタチンには、筋肉細胞が増えたり個々の細胞が大きくなったりすることを抑える働きがある。2品種の肉牛では、ミオスタチンが働かないために他の肉牛よりも筋肉が増える。

 2品種の肉牛は、品種改良の中でたまたま起こった遺伝子の突然変異を見つけて育成された。それならば、この遺伝子が働かないように直接、手を加えれば、筋肉量が多い品種を作り出せるはず──こう考え、マダイで実現させたのが、木下政人・京都大学大学院農学研究科助教だ。メダカ対象の遺伝子研究に20年取り組み、2014年から近畿大学などとの共同研究で、肉厚マダイの作製に成功した。

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