少子高齢化に国挙げて対処する網羅的な「長期ビジョン」策定を=前川守
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日本経済は緩やかな景気回復が長期間続いているにもかかわらず、家計の消費や企業の設備投資は力強さを欠いている。その根本には、日本の将来に対する不安があろう。中でも最大のものは、少子高齢化が進み、人口が減少することだ。人口減少やその影響については、民間も含めさまざまな予測が出されているが、国としての総括的な対策や方針が示されるには至っていない。国民が将来に対して展望を持ち、不安感を払拭(ふっしょく)するためにも、今こそ「長期ビジョン」の策定が必要である。
政府が昨年6月に閣議決定した「骨太の方針2018」は、副題を「少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現」としたように、少子高齢化に対して国民的議論を喚起することの重要性を指摘した。2040年には団塊ジュニア世代がすべて高齢者となり、日本の高齢者数がピークとなることも踏まえたものだ。その後、10月の安倍改造内閣発足時の首相談話では「国難とも呼ぶべき少子高齢化に真正面から立ち向かう」とし、経済財…
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週刊エコノミスト
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