プラント業界を襲う米国市場の巨額損失=宗敦司
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日本のプラント業界で、海外、特に米国での大型案件での損失発生が続いている。
東洋エンジニアリングは2018年5月、信越化学工業の米国法人「シンテック」から受注したエチレンプラント建設で損失が発生することを明らかにした。損失額は約200億円に上る。根本原因は、建設地の地盤が想定より軟弱で基礎くいの打ち直しが必要となったことだ。これによって追加コストが発生し、工事も遅延した。キャッチアップ(工期の遅れを取り戻すこと)のために作業員の追加投入を模索したものの、現地工事を担当していた米CB&I(18年5月に米マクダーモットと合併して、現在は「マクダーモット」名に)が十分な人数を手当てできなかった。結局、現地の建設会社2社と新たに契約し、CB&Iが担当する工事の半分をこの2社に移管した。
また、千代田化工建設は18年10月、米国のキャメロンLNG(液化天然ガス)プロジェクトで約850億円の追加コストが発生したことを明らかにした。同案件はもともと、千代田化工と合併前のCB&Iがジョイントベンチャー(JV=共同企業体)を組んだものだ。合併後にJVを引き継いだマクダーモットがこの案件のコストを算定したところ、従来予想とは異なることが判明。精査の結果、巨額の追加コストが判明した。
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週刊エコノミスト
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