週刊エコノミスト Online2040年の社会保障を考える

医療・介護費を総額で論じる愚=西村周三/33

    医療費の約5割を人件費が占める
    医療費の約5割を人件費が占める

     政府は昨年5月に、「2040年を見据えた社会保障の将来見通し」を公表し、年金、医療、介護などの将来の給付額の見通しを示した。この種の見通しは、これまでも何年かおきに公表されてきたし、ほかにもシンクタンクや研究者たちが類似の見通しを、断続的に公表している。これらの結果を振り返ると、過去20年ほどに関する限り、ほとんど過大評価だった。

     この「外れ」の要因の一つは、政府が「政策目標」として高めの国内総生産(GDP)成長率を設定し、これに対応して数値を算定してきたからである。公的年金の将来財政検証の際には、現行はさまざまな成長率を想定した試算を行うようになっているが、今回の見通しでは、一つの経済成長率しか想定されていない。そもそも長期の場合、GDP成長率を正しく予測することはきわめて難しい。それなのに、政府に正しく予測する能力がないことをあげつらうことが多いが、これはないものねだりというものであろう。

     この種の的外れな批判に加え、総額のみを話題にすることも気になる。今回の政府の見通しでは、40年の医療費は68兆~70兆円程度、介護費は25兆円前後になると見込まれているが、そもそもこれを高いと考えるべきか、低いと考えるべきかのヒントがないと、ほとんど意味がないと言える。

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