国際・政治エコノミストリポート

日露平和条約交渉 北方領土返還の意思ないロシア したたかな戦術で日本を取り込む=黒井文太郎

2018年9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムでは、日露平和条約交渉に関して安倍晋三首相はプーチン露大統領に押されっぱなしだった(Bloomberg)
2018年9月にウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムでは、日露平和条約交渉に関して安倍晋三首相はプーチン露大統領に押されっぱなしだった(Bloomberg)

 国後、択捉、色丹の各島と、歯舞群島の北方領土返還運動推進を図る2月7日の「北方領土の日」。政府などが主催する返還要求全国大会が今年も同日、東京都内で開かれたが、様相は例年と異なっていた。北方領土問題の解決を目指すアピールで使われてきた「不法に占拠され」という言葉が盛り込まれなかったのだ。日露交渉では、領土返還に応じないロシア側の強硬姿勢が報じられており、配慮が見られるようだ。

 国民はどのように見ているのだろうか。共同通信が2月3日に発表した世論調査が興味深い。「安倍晋三首相在任中に北方領土問題が解決すると思うか」との問いに、「解決すると思わない」と答えた人は88.2%にも達し、「解決する」はわずか7.3%にとどまった。

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