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教養・歴史 書評

『アメリカ金融仲介システムの動態』 評者・上川孝夫

著者 神野光指郎(大阪市立大学准教授) 文眞堂 3300円

リーマン危機から10年 過程と事象を詳細に分析

 リーマン危機から10年が過ぎたが、今年は世界大恐慌から90年目に当たる。大恐慌では全米の半分近くの商業銀行が破綻し、リーマン危機では当時の5大投資銀行が単体としてはすべて消滅した。いったい、アメリカの金融機関の活動はどのように評価すればよいのだろうか。本書はリーマン危機に至る過程を扱ったもので、時宜にかなった書物といえる。

 本書によれば、危機前にアメリカの大手商業銀行や投資銀行が目指していたのは、規模や規制の違いはあれ、業務の効率化を図りながら、取引のボリュームを拡大し、収益を最大化することであった。各種の仲介機関の活動が相互に絡み合いながら、各分野で債務が膨張し、最終的に負のスパイラルを生んだと見る。

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経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

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