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医療・介護の連携を強化 両者つなぐ「常勤医」の役割=石飛幸三/36

    「病も『なるがまま』受け入れ、人間らしい生き方を」(「上北沢ホーム」にて入所者と)
    「病も『なるがまま』受け入れ、人間らしい生き方を」(「上北沢ホーム」にて入所者と)

     私は介護施設の常勤医になる前、約半世紀の間、病院の血管外科医として働きました。「患者さんを治す」という目標がある一本道を、ただひたすらに突き進めばよいと思っていました。しかし、その一本道の先で、明治天皇の下賜金で設立された由緒ある東京都済生会中央病院の副院長になった私を待ち受けていたのは、「患者さんを治す」という本来の使命を見失い、財テクに走りガバナンスを失った医療組織でした。ここで私は組織を正すために闘い、自分が医療者として生きる意味を、改めて見つめ直すことになりました。

     同時に、日本社会の高齢化が進む中、がんや動脈硬化など治療しても完治することがない病が増え、私は医師として「延命至上主義」にも限界を感じ始めていました。この二つの体験がなかったら、私は芦花ホームに来ることはなかったでしょう。

     医師として「人を治す」先の世界がどうなっているか見たいと赴いた芦花ホームでは、入所者が死にそうになると「死んではいけない」と救急車を呼んで病院に送る「延命医療の押し付け」がここでも当たり前の世界となっていました。

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