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第37回 医療保険制度の持続可能性高める「医療版」マクロ経済スライド=小黒一正
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前回(本連載第34回)では、「住まい」の社会保障について語った。今回は医療保険財政のマクロ管理について提言をしたい。
日本の公的医療保険制度は、3タイプの医療保険からなる。すなわち、「職域に基づく被用者保険」「居住地に基づく地域保険(国民健康保険=国保)」「75歳以上の後期高齢者を対象とする後期高齢者医療制度」の3タイプであるが、全ての国民はいずれかの医療保険への加入が義務付けられている。制度の分立は歴史的な要因が大きいが、制度間で保険加入者の年齢や医療費、平均所得などが大きく異なる。特に、国保の加入者には所得水準の低い者や平均年齢が高いために疾病リスクが高い者が多いという事情もあり、保険料収入が十分に確保できない傾向がある一方で医療給付の水準が高く、保険財政の運営が厳しいケースが多い。
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