教養・歴史書評

『経済に「国」はいらない ジェイン・ジェイコブズを読む』 評者・服部茂幸

     ジェイン・ジェイコブズは自動車中心の画一的な近代都市計画を批判し、多様性が都市の活力を生むと論じた米国の運動家、作家である。経済や経済政策を考える時、暗黙であっても国を単位にするのが普通であるが、ジェイコブズの思想を手がかりに、都市を単位に経済成長や経済政策を考えるのが本書である。

     本書は経済成長を考える時に、国内総生産(GDP)中心、大産業中心、政治家・官僚のみが政策の主体という思考法を批判する。例えば、かつてはリゾート法の下、画一的な補助金のために、多くの自治体が同じようなリゾート開発を行い、つぶし合ったことを挙げる。また現在の大学改革は、官庁の官僚が3年で交替するために、政策に継続性がない。こうして国の政策は失敗に終わる。

     経済成長の実現のためには、生産性の向上と需要の増加が不可欠である。しかし、一つの商品だけで考えると、無限に需要が増加することは普通はない。そのため、経済成長には必然的に新しい商品を作り出し、商品を多様化させることが必要である。新たな商品の生産のためには、原材料、部品、サービスなどが必要であるし、売り先も必要である。

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