ネットでいたちごっこ=池谷裕二
有料記事
「鍵垢(かぎあか)」という若者独特のネット用語をご存じだろうか。「鍵アカウント」のあて字である。フェイスブックやツイッターなどSNS(交流サイト)の実名アカウントを非公開として、特定の読者(フォロワー)のみに開示することを「鍵を掛ける」という。
とはいえ、鍵垢で展開されている話題は、アクセスが許可されているフォロワーが当人に向けて書いた内容を見れば、推測できることがある。米バーモント大学のバグロウ博士らは、ツイッターの記述を人工知能に解析させ、公開されているフォロワーのツイートから鍵垢の内容をどれほど推測できるかを調査した。
もともと人工知能の解読力には限界がある。鍵の掛かっていない通常の公開アカウントのフォロワーを解析した場合でさえ、人工知能による推測率は64%だ。現在の人工知能の理解力はそんなレベルである。これを前提として博士らは、鍵垢の推測率がどれほどかを計測した。驚くべきことに、フォロワーのデータだけを使った場合は61%という推測率になった。つまり当人のデータが非公開でも、公開されていた場合の95%の性能が出…
残り331文字(全文796文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める