教養・歴史書評

『リベラルvs.力の政治 反転する世界秩序』 評者・平山賢一

    著者 ニーアル・ファーガソン(歴史学者) ファリード・ザカリア(ジャーナリスト) 訳者 酒井泰介 東洋経済新報社 1300円

    歴史の繰り返しか趨勢は不変か グローバル化の「反動」で激論

     国際社会を支えてきた「リベラルな国際秩序」は終わったのか否かという問いについて、2人の論客による激論をまとめた本である。現代を生きる我々の関心は、近年の自国第一主義や移民排斥、さらにはブレグジット(イギリスのEU離脱問題)といった地政学リスクの台頭が、一時的な現象であるのか、それとも数十年にわたり続いてきた国際秩序崩壊の予兆なのかを読み解くことであろう。この点について、対照的な見解がぶつかり合うことで、それぞれの思考経路が明らかになるのは小気味よく、頭を整理するのに役立つ。

     歴史学者ニーアル・ファーガソンは、第二次世界大戦後の国際秩序は、アメリカの突出した軍事力を背景とした世界への関与によるものであり、リベラルではなく保守から生まれたものであるとする。その上で、多くの人々に受け入れられたグローバリゼーションが行き過ぎたため、その反動が発生することで国際秩序が崩壊していると冷徹に分析する。

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