週刊エコノミスト Online独眼経眼

米国経済の起爆剤はそろってきた=渡辺浩志

 昨秋以降の米国の株安は、投資家・企業・家計の心理を大きく悪化させた。年末には景況感の悪化が極まり、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、1月に利上げの中断を余儀なくされた。これを受けて株価は反転したが、3月の連邦公開市場委員会はハト派(金融緩和)色を一段と強めた。背後には利下げを催促する市場への配慮と再度の株安への警戒があったようだ。もはや市場の言いなりともいえる状況だが、この先FRBは利上げを再開できるのだろか。

 この点では、2016年がよい先例となる。当時は、前年までの原油安や中国経済の悪化、半導体需要サイクルの下降によって、世界景気が減速していた。イエレンFRB議長(当時)は、年4回の利上げ計画を中断し、市場心理の回復を優先した。結局、利上げを再開できたのは同年12月。それはまさに市場心理や景況感が悪化前の水準を取り戻した時であった。

残り716文字(全文1097文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事