米国経済の起爆剤はそろってきた=渡辺浩志
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昨秋以降の米国の株安は、投資家・企業・家計の心理を大きく悪化させた。年末には景況感の悪化が極まり、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、1月に利上げの中断を余儀なくされた。これを受けて株価は反転したが、3月の連邦公開市場委員会はハト派(金融緩和)色を一段と強めた。背後には利下げを催促する市場への配慮と再度の株安への警戒があったようだ。もはや市場の言いなりともいえる状況だが、この先FRBは利上げを再開できるのだろか。
この点では、2016年がよい先例となる。当時は、前年までの原油安や中国経済の悪化、半導体需要サイクルの下降によって、世界景気が減速していた。イエレンFRB議長(当時)は、年4回の利上げ計画を中断し、市場心理の回復を優先した。結局、利上げを再開できたのは同年12月。それはまさに市場心理や景況感が悪化前の水準を取り戻した時であった。
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週刊エコノミスト
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