日銀短観が示すのは内需の底堅さ=足立正道
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4月1日公表の日銀短観をみると、注目度が高い大企業製造業の業況判断DIは昨年12月から7ポイント低下して12となった(図1)。業況判断DIとは、自社の経営状態が「良い」と答えた企業の比率と「悪い」と答えた企業の比率との差だが、12という水準自体は2013年以降の平均である13・1をやや下回る程度でそれほど低いわけではない。ただ、低下幅は前回の景気後退期終盤であった12年10~12月期の9ポイント以来の大きさだ。昨年末に明らかになった中国向けを中心とする外需の弱さとそれに伴う減産が業況感に反映されたとみていいだろう。
しかし、日銀短観全体をみると、もう少し違った姿が浮かび上がる。まず、全産業・全規模の業況感は意外と堅調だ。3月時点の業況判断DIは12と大企業製造業と並んだが、13年以降の平均である8.3を上回っているほか、昨年12月からの低下幅も4ポイントと大企業製造業に比べれば小幅にとどまっている(図1)。昨年中もほぼ横ばいだったことは、昨年10~12月期の実質GDP(国内総生産)前年比が潜在成長率を明確に…
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週刊エコノミスト
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