春節で見誤る不況の亡霊=藻谷俊介
3月18日に発表された日本の2月の貿易統計は、とても良好な内容だった。ただ、その報道に問題があり、機関投資家の間でもあまりポジティブに評価されていない傾向があるのは残念である。
中国の春節の効果も補正している当社の季節調整法で輸出数量の変化を見たのが図1青線だ。3月5日号の本欄でも述べたように、中国の輸出入統計は半導体ショックを映し出す形で、「昨年11~12月急落、19年1月急回復」となっていた。日本の輸出数量指数は、ちょうどそれに1カ月遅れる形で「12~1月急落、2月急回復」となっていることが見て取れる。結果的にグラフはショック前の水準を上回ってきた。春節を補正していないために、1月が高め、2月が低めになっているとはいえ、内閣府の季節調整値(図1赤線)でもこの波形は全く同じである。
今年は春節が2月にあったので、そのままだと1月が強く、2月が弱くなる。春節補正はそれを打ち消すように働くので、1月を引き下げ、2月を引き上げる。内閣府は春節補正をしていないので、当社の調整に比べて1月が強く、2月が弱く出ることになるが、その差は一般に想像されるほど大きなものではない。
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週刊エコノミスト
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