消費増税対策の恩恵は高所得者が大きい=斎藤太郎
2019年10月に予定されている消費税率引き上げによる家計の負担額は、大規模な増税対策によって1997年度、14年度を大きく下回ることが見込まれる。
日本銀行の試算によれば、97年度の増税時には同時に所得減税の打ち切りや医療費の自己負担増が実施されたため、家計にとって負担増から負担減を差し引きしたネット負担額は8・5兆円と消費増税分(5・2兆円)を上回るものとなった。また、14年度は各種給付措置、住宅ローン減税などが実施されたものの、年金保険料率の引き上げなどの負担増があったため、ネット負担額は8・0兆円と消費増税分(8・2兆円)と同程度の大きさとなった。
これに対して、19年度に予定されている消費税率引き上げ時には軽減税率の導入、教育無償化、キャッシュレス決済時のポイント還元、プレミアム商品券、年金生活者支援給付金などによって負担が大きく軽減される。筆者の試算によれば、家計のネット負担額は2・5兆円(20年度の対18年度増加額)と消費増税による負担増(5・7兆円)を大きく下回る。
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週刊エコノミスト
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