週刊エコノミスト Online独眼経眼

消費増税対策の恩恵は高所得者が大きい=斎藤太郎

図1 負担増となるのは50歳以上の世帯
図1 負担増となるのは50歳以上の世帯

 2019年10月に予定されている消費税率引き上げによる家計の負担額は、大規模な増税対策によって1997年度、14年度を大きく下回ることが見込まれる。

 日本銀行の試算によれば、97年度の増税時には同時に所得減税の打ち切りや医療費の自己負担増が実施されたため、家計にとって負担増から負担減を差し引きしたネット負担額は8・5兆円と消費増税分(5・2兆円)を上回るものとなった。また、14年度は各種給付措置、住宅ローン減税などが実施されたものの、年金保険料率の引き上げなどの負担増があったため、ネット負担額は8・0兆円と消費増税分(8・2兆円)と同程度の大きさとなった。

 これに対して、19年度に予定されている消費税率引き上げ時には軽減税率の導入、教育無償化、キャッシュレス決済時のポイント還元、プレミアム商品券、年金生活者支援給付金などによって負担が大きく軽減される。筆者の試算によれば、家計のネット負担額は2・5兆円(20年度の対18年度増加額)と消費増税による負担増(5・7兆円)を大きく下回る。

残り637文字(全文1085文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事