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増加する「住まいが無い」若者=稲葉剛
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「ホームレスは減少しているが、住居喪失者は増加している」──。
この説明を聞いて、頭に「?」が浮かぶ人は多いだろう。だが、住まいを失った生活困窮者の実態について行政が実施している複数の調査結果を総合すると、このような表現をせざるをえなくなる。
問題は「ホームレス」や「住居喪失者」の定義にある。2002年に制定されたホームレス自立支援法によると、「ホームレス」とは「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と定義されており、一言で言うと屋外で寝ている人のみが「ホームレス」として扱われている。
昨年1月に国が実施した実態調査によると、全国の「ホームレス」数は4977人であり、1999年の調査開始以来、初めて5000人を切った。その間、官民による支援策が進んだ影響もあり、「ホームレス」数は03年のピーク時(2万4900人)に比べると、5分の1程度まで減少したことになる。近年、「ホームレス」の平均年齢は60歳を超えており、生活保護を申請することで屋外での生活から抜け出している人が多いと見ら…
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