週刊エコノミスト Online闘論席

ここでも「問題は日本」=池谷裕二

 発症してからでは遅い。健康なうちに先手を打つべし──。予防医学がうたわれる近年だが、いまだに体調の異変に気づいてから病院に足を運ぶ人が多い。

 現存する中国最古の医学書『黄帝内経(こうていだいけい)』に収録された「素問・四気調神大論」には「聖人不治已病治未病」(訳:聖人は既病を治すのではなく未病を治す)と記され、「未病」という概念が提唱されている。

 未病のブームは臨床だけではない。基礎研究界でも病気の研究から「健康」の研究にかじを切っている。これまでは疾患を解明することで治療に役立てようというアプローチが主流だった。しかし改めて考えてみれば、患者の数より健常人のほうが圧倒的に多い。健康について理解が進んでいないということは、人間という生命体の動作原理が解明されていないに等しい。

残り416文字(全文759文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事