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予防医療で医療費は削減できない=康永秀生

非喫煙者は寿命が長い分、高齢時の医療費が高くなる
非喫煙者は寿命が長い分、高齢時の医療費が高くなる

 予防医療とは、病気の発生を防いだり、病気を早期発見・治療することにより、病気による障害や早期の死亡を減らす医療である。禁煙対策、メタボリックシンドローム(メタボ)健診、がん検診などが含まれる。健康寿命を延ばすために、予防医療は不可欠である。国や自治体は予防医療をさらに推進しなければならない。

 ところで、予防医療によって疾患の発生や重症化が抑制されれば、結果的に「医療費の削減につながる」という誤った説が一般には受け入れられているようである。かつて政府は、高騰する国民医療費を削減する手段として、予防医療の推進をスローガンに掲げたことがある。

 2006年に厚生労働省は、メタボ健診によって25年には約2兆円の医療費を削減する、という目標を掲げた。根拠のない数値目標の設定に意味はない。19年に至って、その目標はすでに忘れ去られた感がある。

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