迷走する日本経済を直視しない政治
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平成の30年間、さまざまな困難が日本経済を襲ったが、この間の経済政策は、迷走を続け今日に至っている。そしてアベノミクスは迷走に、さらに拍車をかけているようにみえる。
最大の問題は、謙虚に経済の現実を直視してこなかったことだろう。日本経済はもはや規模のうえで、かつてのような経済大国ではない。世界全体のGDP(国内総生産)に占める日本のシェアはこの間、16%から6%程度に落ち込んだ。それでも、日本はアジアで最も豊かだと誤解している人がいるが、1人当たりの所得ではシンガポールに大きく離され、香港に抜かれて韓国に迫られている。
だが、経済規模は単にフランスやイギリス並みの普通の国になったということであり、決して悲観することではない。労働力人口の減少で日本経済の実力は1%以下の成長力に陥っているが、現政権はこうした「不都合な真実」を軽視し、達成不可能の成長目標を掲げている。そればかりか、持続不可能な金融政策を日銀に強い、一時的な税収の増加分を財政再建ではなくバラマキに使っている。
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週刊エコノミスト
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