信金・信組に学べ! 浮上する地銀版系統金融=浪川攻/17
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地域銀行に限らず、狭域の地域金融機関である信用金庫、信用組合も厳しい経営環境の中にある。収益力は落ちているのだが、近年、地域社会における存在感はむしろ、小規模金融機関である信金や信組のほうがあるのではないか。
信金・信組は協同組織金融機関で、株式会社形態とは質的に異なっている。相互扶助を原則に置く会員制組織であり、系統組織という側面も有している。個別の信金・信組の上部団体として、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会があり、その関係の中に系統預金が存在している。個別信金・信組が抱えた余剰資金(余資)は上部団体に預金として預けている。
これは信金・信組には厳格な地域規制があり、やたらと営業圏を拡大できないこととも関連している。一方、地域銀行はそうではない。近年、話題になっているように、地元経済の停滞、資金需要の落ち込みをカバーするために、首都圏に進出し、積極的なローン展開を行ってきている。いわば、地域銀行には“他の地域に飛ぶ”という「逃げ道」がある一方で、信金・信組にはそのようなものはなく、それに代替しているのが系統金融という…
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週刊エコノミスト
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