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公的年金の「財政検証」シナリオを問う=小黒一正

 日本の公的年金制度の最大の問題は、老後の防貧機能を堅持しつつ、年金財政の持続可能性を高めていくことにある。年金財政の健全性は、法律に基づき、年金財政の健康診断に相当する「財政検証」を少なくとも5年に1度実施することで確認する。前回の財政検証は2014年であり、19年は5年ぶりに財政検証を行う年だ。14年の財政検証では、経済成長率の方向性を決定づけるTFP(全要素生産性、潜在成長率に占める技術革新の寄与割合)上昇率のほか、名目運用利回りや実質賃金の伸び等の異なる条件で8ケース(ケースA~H)を検証している。

 政府は04年の年金改革で、約100年間、年金の所得代替率(現役男性の平均的な手取り収入に対するモデル世帯での年金の給付水準の割合)を50%以上に維持すると法律に明記し、50%を割る場合は制度改正を義務づけている。14年度におけるモデル世帯の年金額は夫の年金額が年間約180万円(=月額15・4万円)、妻の年金額が年間約77万円(=月額6.4万円)で、合計約260万円(=月額21.8万円)である。1…

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