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「勤労者皆社会保険」実現への条件とは=西沢和彦
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2019年4月、自由民主党厚生労働部会から「新時代の社会保障改革ビジョン」(以下、改革ビジョン)が発表された。そこでは、「令和時代の七つの改革」が掲げられ、その筆頭に「勤労者皆社会保険~人生100年時代のセーフティーネット」があげられている。勤労者皆社会保険は、その実現によりパート主婦の就労調整の原因とされている130万円の壁や106万円の壁が無くなるとされているが、どのようなメカニズムで壁が無くなるのか判然としないなど具体的な設計は明らかにされていない。
勤労者皆社会保険とは一体何だろうか。以下の議論は、対象を年金に絞るが、健康保険にもおおむねあてはまる。わが国の年金制度は、厚生年金、共済組合、国民年金の大きく三つに分立している(以下、共済組合は割愛)。改革ビジョンは、現行の厚生年金保険が、加入者としてもっぱら正規雇用を想定していることから、短時間労働や兼業・副業、フリーランスなど(以下、便宜的に非正規雇用と総称)多様な働き方に対応できていないこ…
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