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電子たばこをめぐって=池谷裕二

撮影:中村琢磨
撮影:中村琢磨

 日本の成人喫煙率は厚生労働省の調査で男性29%、女性7%。以前に比べると、ずいぶんと減ってきた。喫煙率の低下の理由は、有害作用が社会的に認知されてきたことに加え、ニコチン置換機器が普及してきたことにもある。

 世界では「電子たばこ」の市場拡大が目覚ましい。液体を電気加熱して発生した蒸気を吸入するもので、当初の予想をはるかに上回って浸透している。今年2月には「(ニコチンパッチなど)ほかのニコチン置換療法に比べ禁煙成功率が1・8倍高い」という一定の禁煙効果を示す英国の調査結果が医学専門誌に発表された。

 しかし電子たばこは、真の意味で有益だろうか。まずは副作用。発がん作用については多様なデータが発表されているが、おおむね「作用なし」との意見が優勢だ。とはいえ、血管収縮作用があるニコチンが含まれるため、心臓発作や脳卒中のリスクを高めるとされる。またニコチンには強い依存作用があり、海外では「電子たばこ依存症」が新たな社会問題となっている。

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