教養・歴史書評

武士団が台頭した時代の経過、伝承まで綿密に分析=今谷明

 桓武平氏の有力者・平将門が天慶(てんぎょう)2(939)年、坂東(ばんどう)諸国を荒らし回って“新皇”と称し、翌年2月、藤原秀郷(ひでさと)(異称:俵藤太(たわらのとうた))や平貞盛らの官軍と戦って憤死した事件を「天慶の乱」、前後して伊予を中心に西海を荒らしていた藤原純友(すみとも)らの争乱と併せて「承平(じょうへい)天慶の乱」ともいう。

 武士団の成立と武家の台頭を印象付ける重大な戦乱で、古来、封建制の萌芽を示す内乱として注目されてきた。経済史家の福田徳三はドイツ留学中(1900年ごろ)にドイツ語で出版した『日本経済史論』において、この乱を中世の起点としている。

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