教養・歴史書評

『アダム・スミスはブレグジットを支持するか? 12人の偉大な経済学者と考える現代の課題』 評者・浜矩子

     これは著者が評者のために書いてくれた本かもしれない。目次を見てそう思った。なぜなら、評者はしばしば、本書に登場する偉大な先生方にいろいろなことを聞いてみたいという衝動に駆られてきたからだ。リカード、ケインズ、ハイエク……、すごい名前がズラリと並ぶ。

     評者は、「あの大先生は、ドナルド・トランプが大統領になってしまうような現状を、草葉の陰でどう思われているのか」とか、「あの先生にご復活願って、日銀の量的質的金融緩和に審判を下していただきたいものだ」とか、そんなことを常に考えている。だから、本書の「誰それに何々を聞いてみよう」というスタイルは実にワクワクする。

     本書は、著者が歴史上のあの経済学者ならこの問題にどう答えただろう?と推測して考察するスタイルを取る。「貿易赤字は重要な問題か」「格差の発生は避けられないのか」「賃金はなぜこれほど低いのか」。今日の政策責任者や学者たちを悩ます諸問題が、次々に大先生たちに突きつけられる。質問の内容とぶつける相手のマッチングがまたなかなかいい。「中国は富裕国になれるのか」と迫られて、マルクス先生が目をシロクロさせてい…

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