教養・歴史書評

『データ資本主義 ビッグデータがもたらす新しい経済』 評者・平山賢一

    著者 ビクター・マイヤー=ショーンベルガー(オックスフォード大学教授) トーマス・ランジ(ジャーナリスト) 訳者 斎藤栄一郎 NTT出版 2700円

    貨幣からデータへ 市場は総合評価時代に

     近年、データの重要性が高まる中で、AI(人工知能)を用いたビッグデータの活用事例が注目されるようになっている。これに呼応してデータサイエンティストの獲得競争は熾烈(しれつ)を極めており、ビッグデータに関わることがなかった人々も、関心を示さざるを得なくなっているのが現状である。本書は、ビッグデータ時代の資本主義をどう認識し、対応したらよいのかを明らかにしており、時宜にかなったものといえよう。

     われわれは、常に商品情報をすべて把握し、吟味した上で取引しているわけではない。むしろ、商品の価値は、貨幣という尺度で測られた価格情報に集約されているとシンプルに捉え、商品選択を下していることが多い。興味深いことに、近年のIT技術の発展は、この選択基準に変化をもたらしているのである。商品を選択する際に、多様な商品情報データにまで拡張して比較可能になっているからである。本書は、市場が「貨幣中心市場」…

    残り775文字(全文1265文字)

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