教養・歴史書評

能楽師が読み解くスリリングな『論語』=加藤徹

 安田登『すごい論語』(ミシマ社、1800円)は、知的な興奮と躍動感に満ちた対談集だ。

 著者はプロの能楽師である。能と『論語』には共通点がある、と著者は言う。一つは古くから続いていること。もう一つは「つまらない(と思われている)」こと。

 能は誕生以来、650年以上も途切れることなく上演されてきた。すごいことだ。2500年前の孔子の言葉を記した『論語』は、もっとすごい。能も『論語』も、座学的に向き合うと退屈だ。しかし、発想を切り替え、能の演技の根底にも通ずる「身体知」で読み解くと、『論語』も能もがぜん、面白くなる。

 本書は異種格闘技的対談集だ。著者の武器は、『論語』が書かれた時代の古代文字の字解と、芸能を通じて血肉とした古代的なセンスである。

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