週刊エコノミスト Online2040年の社会保障を考える

社会保険料負担は近く限界に達する=飛田英子

     2040年に向けた社会保障のあり方が政府内で検討されている。予防・健康づくりを通じた健康寿命の延伸やAI(人工知能)・ICT(情報通信技術)を活用したサービス提供の効率化などが議論されているが、そもそも日本の社会保障制度は将来的に安泰なのだろうか。そうでなければ、現在の議論は徒労に終わりかねない。

     そこで、負担能力の観点から社会保障制度の持続可能性を検討してみた。結論を先取りすると、日本の保険料は中長期的に増加を続け、近い将来、負担が限界に達する可能性が高い。以下では、推計結果を紹介するとともに、制度の持続可能性確保に向けて必要な視点を提示する。

     推計するのは、(1)夫婦とも75歳の高齢者世帯、(2)組合管掌健康保険に加入する現役サラリーマン──の2100年度までの保険料負担である。具体的には、高齢者世帯は後期高齢者医療制度と介護保険制度の保険料、現役世代は医療と介護、年金の保険料率である。医療と介護の1人当たり費用の伸び率は、それぞれ年2.5%、年1.9%とし、名目賃金は2024年度以降年2.0%、消費者物価は11年度以降年1.1%で上昇するとした。

     まず、高齢者世帯についてみると、夫婦2人分の医療と介護の保険料負担は、18年度の29万円から50年度には96万円、2100年度には379万円に達する(図1)。仮に、この世帯の収入が年金のみ、具体的には夫婦の基礎年金と夫の厚生年金とすると、マクロ経済スライド(現役世代の人口減少や平均余命の伸びに合わせて年金の給付水準を調整する仕組み)発動の下で50年度まで伸び悩んだ後、調整終了とともに増勢が強まり…

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