米国の雇用鈍化とインフレ期待低下=足立正道
世界の金融市場は、米中貿易戦争を中心とする米国の通商政策と米連邦準備制度理事会(FRB)を中心とする中央銀行の動向に一喜一憂する展開となっている。
本稿執筆時点(6月21日)で、大阪で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた米中首脳会談の結果を予見することは不可能だが、仮に会談が不調に終わると7月から米国に輸入される中国製品のほぼすべてに25%の関税が課せられる。米国の消費者物価は一時的にせよ上昇し、家計の購買力をそぐため消費が鈍化する。
加えて、ハイテク関連の取引規制が強化される可能性もある。本格化する保護貿易や米中の覇権争いに対する懸念から、製造業を中心に企業心理が一層悪化する蓋然(がいぜん)性が高く、落ち込んでいる設備投資に加え、堅調に推移する雇用さえも抑制されるリスクが高まる。
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週刊エコノミスト
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