米利下げで日銀緩和期待の高まりも=渡辺浩志
トランプ大統領の無軌道な通商政策に金融市場が翻弄(ほんろう)されている。米中摩擦の長期化不可避の様相が強まるなか、関税問題はメキシコにも飛び火し、世界景気の後退懸念を高めている。市場参加者は米連邦準備制度理事会(FRB)に景気や株価の下振れ回避策を求め、予防的な利下げを促している。
そうしたなか、米国の長期金利も大きく低下した。長期金利は期待短期金利(将来にわたって予想される政策金利の期間平均値)とタームプレミアム(将来の債券価格の変動リスク)の合計であるため、市場参加者の政策金利予想を表す「フェデラルファンド(FF)金利先物」と連動している。図1にみるように、FF金利先物は現在、市場参加者が来年末までに4回弱の利下げを予想していることを表しており(左目盛り)、それに呼応して米長期金利は2%近くまで低下している(右目盛り)。
市場参加者の利下げ期待を背景に米国の長期金利が低下するなか、かつてドル・円レートと日米実質長期金利差の間に見られた密接な連動性が復活しているようだ(図2)。このことは、利下げ期待が高まり、米長期金利がもう一段低下すれば、更なる円高・ドル安に直結することを意味する。それと同時に、日本の長期金利が上昇する場合にも円高圧力が高まるため、日銀に対しても金融緩和期待が高まる可能性がある。
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週刊エコノミスト
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