教養・歴史書評

『資本市場とプリンシプル』 評者・池尾和人

     最近行政処分を受けた某大手証券会社による情報漏えい問題では、当該情報は個別銘柄に関わるものではないことから法令で禁止されたインサイダー取引にはあたらないので、コンプライアンス上は問題がないとの認識が社内でみられたという。処分理由の記述の中で、金融庁も「本件行為は、法令等諸規則に違反する行為ではない」としている。

     にもかかわらず金融庁は、右のような認識は「コンプライアンスの本質を理解しておらず」と厳しく指弾している。要するに、資本市場が公正で効率的な取引の場であるためには、その参加者に対しては、「適法か違法か」というルール適合性の基準を超えて、実態に即して「望ましいか望ましくないか」という評価基準に基づく自己規律付けが求められるということである。

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