教養・歴史書評

多文化混在の孤高の島 シチリア史を堪能する=本村凌二

 第二次大戦後、イタリア映画はひときわ輝いていた。なかでもヴィスコンティ監督「山猫」は傑作中の傑作といえるほど観客を魅了した。

 19世紀半ばのイタリア統一後、シチリア島のパレルモ近郊に住むサリーナ公爵は貴族院議員への推挙の申し出をやんわりと断る。ランペドゥーサの原作では、こう語っている。

「シチリア人が完璧であると信じているという単純な理由から、決して改善をのぞまないのです。(中略)私たちはそれを自尊心と呼んでいますが、実際は、ものが見えないだけの話です」

 そこには、長い歴史のなかで「あまたのよそ者に踏みにじられながらも」育まれた「島国性」が根強く残っている。この多様な人種と文化が混在する孤高の島の歴史について描くのが藤澤房俊『地中海の十字路=シチリアの歴史』(講談社選書メチエ、1750円)である。

残り533文字(全文886文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月23日号(8月16日発売)

電力危機に勝つ企業12 原発、自由化、再エネの死角 オイルショックを思い出せ ■荒木 涼子/和田 肇15 電力逼迫を乗り越える 脱炭素化が促す経済成長 ■編集部16 風力 陸上は建て替え増える 洋上は落札基準を修正 ■土守 豪18 太陽光 注目のPPAモデル 再エネは新ビジネス時代へ ■本橋 恵一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事