教養・歴史書評

多文化混在の孤高の島 シチリア史を堪能する=本村凌二

     第二次大戦後、イタリア映画はひときわ輝いていた。なかでもヴィスコンティ監督「山猫」は傑作中の傑作といえるほど観客を魅了した。

     19世紀半ばのイタリア統一後、シチリア島のパレルモ近郊に住むサリーナ公爵は貴族院議員への推挙の申し出をやんわりと断る。ランペドゥーサの原作では、こう語っている。

    「シチリア人が完璧であると信じているという単純な理由から、決して改善をのぞまないのです。(中略)私たちはそれを自尊心と呼んでいますが、実際は、ものが見えないだけの話です」

     そこには、長い歴史のなかで「あまたのよそ者に踏みにじられながらも」育まれた「島国性」が根強く残っている。この多様な人種と文化が混在する孤高の島の歴史について描くのが藤澤房俊『地中海の十字路=シチリアの歴史』(講談社選書メチエ、1750円)である。

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