週刊エコノミスト Online不動産コンサル長嶋修の一棟両断

安い修繕積立金が招く悲劇/6

資産価値維持のために定期的な修繕は必須だ
資産価値維持のために定期的な修繕は必須だ

 マンションの「修繕積立金」は、所有者全員の積立貯金である。これを原資として将来の大規模修繕に備えるわけだが、修繕が2回目や3回目となると多くのマンションで積立金が足りないといった事態が生じてくる。

 不足している場合、所有者おのおのが数十万~100万円単位の一時金を拠出できればいいのだが、常に全員が足並みをそろえて出せるケースは非常にまれだ。その場合、金融機関から融資を受けて大規模修繕を行い、修繕積立金をアップさせて融資の返済を行う方法もあるが、これもうまくいかないことが多い。当初は毎月5000~1万円程度だった修繕積立金がいきなり3万円にアップするとなると簡単には受け入れられない家庭もあり、管理組合総会で否決されてしまうこともある。

 そうなると、今ある手元資金で修繕できる部分だけをやる、あるいは何もしないといった選択とならざるを得ず、建物はどんどん陳腐化してしまう。売却したり貸したりするにも魅力的な建物にはなり得ず、資産価値を下げることにつながるうえ、適切な修繕をしておけば本来100年以上長持ちするところ、建物の寿命を一気に短くしてしまう。

残り819文字(全文1297文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事