週刊エコノミスト Online 不動産コンサル長嶋修の一棟両断
安い修繕積立金が招く悲劇/6
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マンションの「修繕積立金」は、所有者全員の積立貯金である。これを原資として将来の大規模修繕に備えるわけだが、修繕が2回目や3回目となると多くのマンションで積立金が足りないといった事態が生じてくる。
不足している場合、所有者おのおのが数十万~100万円単位の一時金を拠出できればいいのだが、常に全員が足並みをそろえて出せるケースは非常にまれだ。その場合、金融機関から融資を受けて大規模修繕を行い、修繕積立金をアップさせて融資の返済を行う方法もあるが、これもうまくいかないことが多い。当初は毎月5000~1万円程度だった修繕積立金がいきなり3万円にアップするとなると簡単には受け入れられない家庭もあり、管理組合総会で否決されてしまうこともある。
そうなると、今ある手元資金で修繕できる部分だけをやる、あるいは何もしないといった選択とならざるを得ず、建物はどんどん陳腐化してしまう。売却したり貸したりするにも魅力的な建物にはなり得ず、資産価値を下げることにつながるうえ、適切な修繕をしておけば本来100年以上長持ちするところ、建物の寿命を一気に短くしてしまう。
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