教養・歴史書評

新一万円札に登場決定 若き日の渋沢栄一を活写=今谷明

 

福沢諭吉と交代して、新1万円札の肖像に渋沢栄一が決定した。偽札防止と印刷局の技術革新のためというのが交代の主な理由のようだが、幕末から明治の近代化を象徴する人物として“本命登場”という感じで異議のないところだろう。

 数百の会社や公共事業の創立に関わった人で、私見では同じく新肖像に決まった津田梅子の100倍以上の仕事をした人物である。問題は、そのような超人的業績を可能にした渋沢の青年時代の生き方である。  今井博昭『渋沢栄一 「日本近代資本主義の父」の生涯』(幻冬舎新書、840円)は、34歳で大蔵官僚を辞するまでの渋沢の生涯をたどった好著。高崎城乗っ取り計画を企てた尊王倒幕の志士時代から、一転して御三卿(ごさんきょう)(徳川一族から分立した田安家、一橋家、清水家)の一橋慶喜(よしのぶ)に仕え、慶喜の将軍任官に伴い幕府直参となり、さらに…

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