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教養・歴史 書評

中国 孔子も魯迅も政治の駒=辻康吾

 中国の現代史の中で毛沢東(1976年没)と魯迅(36年没)の二人をはずすことはできない。毛は政治権力的に、魯迅は思想文化的に。没年が40年も離れながらも、この二人は中国革命の表裏を代表する人物として語り継がれてきた。そしてこの二人が実際にどんな関係にあったのかは複雑な歴史過程を理解するのに必要な課題である。

 大連大学の葉徳浴(ようとくよく)教授の『毛沢東之於魯迅』(『毛沢東にとっての魯迅』、台北・独立作家、2015年)はこの課題を綿密にたどった一書である。同書が台北で出版されたように毛沢東が魯迅を政治的に利用したとする著者の分析は、中国国内では発表できなかったのであろう。

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