週刊エコノミスト Online闘論席

片山杜秀の闘論席

 

テロの定義は難しいが、以下のように考えてみたい。何か小さなものが、何か大きなものに憎しみを抱いているけれど、正面から堂々と対抗できない。そこで小さなものは、用いられる暴力を最大化して奇襲的に使ってみる。

 権力が明らかに個人に集中し、もしもその個人を倒せれば世界がたちまち変わると考えやすかった時代には、個人を標的にしたテロがはやった。日本なら、井伊直弼(なおすけ)も大久保利通も伊藤博文も原敬(たかし)も、そろってテロの犠牲になった。

 しかし、世界が複雑になり、個人よりも組織が力を持つと考えられると、襲撃対象も変わる。1974年の三菱重工爆破、84年の自民党本部放火、87年から90年にかけて朝日新聞が狙われた赤報隊事件などが思い浮かぶ。

残り468文字(全文789文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事