週刊エコノミスト Online2040年の社会保障を考える

「老後2000万円」報告書が目指したもの(下)=駒村康平

 

前回(8月6日号)の最後で、高齢者の購買力を維持するためには、低下する公的年金の給付水準を私的年金が補完する「公私年金連携」が大事だと説明した。ここで注意してほしいのは、私的年金、老後資産の形成が重要になるのは、マクロ経済スライドの影響が大きく、より長い人生を過ごす若い世代が対象になるという点である。現在の高齢世代はマクロ経済スライドの影響は限定的である。また企業型確定拠出年金、iDeCo(イデコ)(個人型確定拠出年金)やNISA(ニーサ)(少額投資非課税制度)で積極的な資産形成を行えと言っても、金融リテラシーや経験がない個人に株式市場で売ったり買ったりしろという趣旨ではない。少額からでも長期分散投資ができ、実際の運用は専門家に任せる投資信託の積極活用が重要である。

 もちろん投資信託を購入すれば、手数料はかかる。しかも、金融商品には情報の非対称性がつきもので、この手数料の透明性などが問題になった。そこで金融庁は、顧客本位の金融サービスを進めるために、各投資信託販売会社のKPI(主要評価指標)の公表、比較、分析を行い、たとえばコストとリターンの関係性が弱いことを指摘し、透明性の高い手数料設定を求めている。

残り1836文字(全文2346文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事