日本経済 追加緩和迫られる日銀 10~12月に短期金利引き下げか=木内登英
FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げ(政策金利引き下げ)に動くなか、日銀もそれに追随するとの見方が出ている。しかし、利下げ余地が2%程度もあるFRBとは異なり、利下げやその他の緩和手段が限られる日銀は、緩和カードをできる限り温存したいと考えているはずだ。
日銀が緩和策実施までのつなぎ、いわば時間稼ぎの手段として活用していくのが、フォワードガイダンス(政策方針)の漸次的な時間軸延長だろう。今年4月の決定会合で日銀は、政策金利のフォワードガイダンスについて、「当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」との文章に、「少なくとも2020年春ごろまで」という文言を加えた。
時間を明示したフォワードガイダンスは、時間軸を修正することで一種の緩和手段として利用でき、ECB(欧州中央銀行)がすでに採用している。たとえば、この先景気減速や円高が進む場合には、現在の時間軸を「少なくとも20年後半まで」などと段階的に延長していくことでイールドカーブのフラット化を促し、円高をけん制することも可能だ。
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週刊エコノミスト
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