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週刊エコノミスト Online 書評

三国志研究に新機軸 歴史書の在り方問う=加藤徹

『三国志』を研究する学者の世界は、まさに“三国志的”だ。文学研究者、歴史研究者、文化研究者の三つの学派が、魏・呉・蜀の三国のごとくせめぎ合い、状況に応じて合作や反目を繰り返している。

 最大勢力である文学派は、正史『三国志』や古典小説『三国志演義』など、古典的書物を重んじる。古典は有用だ。が、記載は有名人に偏る。編さんで削られる史実も多い。

 歴史派は、考古学的な出土文物も重視する。長い歳月を経て土の中から当時の文物が姿を現すのは、奇跡的な偶然だ。同時代の一次資料は動かぬ証拠だ。が、出土品の多くはバラバラの断片で、無名人の生活の痕跡など地味なものが大半だ。

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