失敗相次ぐ認知症の新薬開発 有力候補も症状改善みられず 揺らぐ「標的」に手探り続く=村上和巳
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世界でもまれにみる少子高齢化が進行する日本で、患者数増加と治療選択肢の少なさゆえに問題になりつつあるのが認知症である。内閣府の2017年版「高齢社会白書」によると、12年時点の推計認知症患者数(65歳以上)は462万人。これが25年には約730万人、50年には1000万人を超え、65歳以上の約4人に1人が認知症患者になると試算されている(図)。政府は今年6月、団塊の世代すべてが75歳以上になる25年までを対象期間とする「認知症施策推進大綱」を決定した。大綱では認知症を「誰もがなりうる」として、発症や進行を遅らせる方法の研究開発の促進などを盛り込んだ。
患者や家族はもちろん、医療従事者には有効な認知症の新薬を待ち望む声が強い。だが、11年以降新薬は一切登場していないばかりか、18年以降、新薬候補の開発中止の発表が相次いでいる(表)。
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週刊エコノミスト
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