新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

週刊エコノミスト Online エコノミストリポート

失敗相次ぐ認知症の新薬開発 有力候補も症状改善みられず 揺らぐ「標的」に手探り続く=村上和巳

(注)長期の認知症の有病率調査を行っている福岡県久山町研究データに基づく。同研究から糖尿病の有病率が認知症の有病率に影響する事が分かり、赤い棒グラフでは2060年までに糖尿病有病率が20%増加すると仮定し推計 (出所)2017年版「高齢社会白書」
(注)長期の認知症の有病率調査を行っている福岡県久山町研究データに基づく。同研究から糖尿病の有病率が認知症の有病率に影響する事が分かり、赤い棒グラフでは2060年までに糖尿病有病率が20%増加すると仮定し推計 (出所)2017年版「高齢社会白書」

 世界でもまれにみる少子高齢化が進行する日本で、患者数増加と治療選択肢の少なさゆえに問題になりつつあるのが認知症である。内閣府の2017年版「高齢社会白書」によると、12年時点の推計認知症患者数(65歳以上)は462万人。これが25年には約730万人、50年には1000万人を超え、65歳以上の約4人に1人が認知症患者になると試算されている(図)。政府は今年6月、団塊の世代すべてが75歳以上になる25年までを対象期間とする「認知症施策推進大綱」を決定した。大綱では認知症を「誰もがなりうる」として、発症や進行を遅らせる方法の研究開発の促進などを盛り込んだ。

 患者や家族はもちろん、医療従事者には有効な認知症の新薬を待ち望む声が強い。だが、11年以降新薬は一切登場していないばかりか、18年以降、新薬候補の開発中止の発表が相次いでいる(表)。

残り3298文字(全文3669文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事