実験演劇のカリスマ演出家=J・A・シーザー 「演劇実験室◎万有引力」主宰者、音楽家/759
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劇作家・寺山修司の天井桟敷時代を含めて、今年演劇人生50周年。人気俳優を起用する商業演劇とは一線を画し、今なお前衛演劇の最先端を走り続ける。
(聞き手=大宮知信・ジャーナリスト)
「自己変革を引き起こす“演劇の作用”を知りたい」
「天井桟敷での居候中に作った鼻歌のような曲を聴いて寺山修司さんが『歌わないか』と」
── 演劇人生50周年記念ということで今年4月、初めて演出を手がけた作品「チェンチ一族」や寺山修司の代表作「奴婢訓」を、武蔵野美術大学美術館(東京都小平市)で再演しました。
シーザー 偶然、東京・下北沢の劇場「ザ・スズナリ」が空いていたので、「チェンチ一族」やってみるかということになっただけで、誕生日のケーキを作って祝おうとか花火を打ち上げたりもしません。寺山さんが1960年代後半にアントナン・アルトーの演劇的世界に引かれて、残酷演劇の技法を自分の演劇に持ち込むことによってさらに前衛演劇の力が深くなっていった。寺山さんから演出を全部やるようにと言われた芝居で、演出家としては僕のデビュー作品だった。
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