『スウェーデンの保育園に待機児童はいない 移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし』 評者・新藤宗幸
有料記事
著者 久山葉子(翻訳家、コーディネーター) 東京創元社 1500円
万人に無条件で権利保障 福祉先進国の保育園体験
「女性の活躍推進」と言いながら子どもの貧困、虐待が日常的にニュースとなり、保育施設の量と質に疑問が投げかけられる日本。本書は、日本人だがイタリア育ちの夫の「子どもと過ごせる時間を十分に持ちたい」との提案で、2歳の娘を連れてスウェーデンへ移住を決めた著者の体験記であるとともに、働く母親の視点から見た政治文化論である。
向かった先はスウェーデン北部のスンツヴァル。人口10万人ほどだが、国立大学も家具量販店イケアもあり活気ある街である。真冬の2010年1月から定住のための奮戦がスタート。スウェーデンでは個人識別番号を取得しないことには何ごとも始まらないが、そのための住民登録には市役所ではなく税務署に行く。
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週刊エコノミスト
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