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増税後価格の弾力化で下振れ小幅=愛宕伸康

 消費増税まで2週間余り。今のところ、さほど大きな駆け込み需要は生じていないようだ。2014年4月の前回、1997年4月の前々回増税時とは様相が異なるが、一体何が起きているのか。

 ポイントは、価格への影響だ。日本ではこれまで増税分の価格転嫁を増税のタイミングに合わせて一気に行う傾向が強かった。89年の消費税導入時には中小企業が消費税分を価格に十分転嫁できなかったとの反省から、97年4月の増税時は公正取引委員会が価格転嫁や表示の考え方を説明する文書を発出。14年4月の増税時にはいわゆる「転嫁対策特別措置法」を整備して転嫁を阻害した企業の実名を公表するなどの厳しい対応を取り、価格転嫁を強力に促した。その結果、増税と同時に消費者物価指数(CPI)が跳ね上がり(図1)、駆け込み需要とその後の反動減の振れ幅を大きくした。

 これに対し欧州諸国では、増税を目立たなくするため1回当たりの増税幅を物価変動率の範囲内に抑えるケースが多いうえ、価格への転嫁も企業の裁量に委ねられており、増税のタイミングで一気に物価が跳ね上がるといったことはほとんど起きない。

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