低迷が続く家計の可処分所得=斎藤太郎
8月9日に内閣府から2019年1~3月期までの家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報が参考系列として公表された。
これまで国民経済計算(GDP統計)の家計貯蓄率は年次推計(直近は17年度)でしか公表されていなかった。このため、直近の家計消費の動向を分析する際に重要な情報が不足していた。月次指標としては、「家計調査」の貯蓄率(=黒字率)が総務省統計局から公表されている。しかし、対象が2人以上の勤労者世帯と無職世帯に限られること、持ち家の帰属家賃が消費支出に含まれておらず貯蓄の概念が国民経済計算と異なることなどから、必ずしもマクロベースの家計貯蓄率を正確に捉えていない。
実際、国民経済計算の家計貯蓄率と家計調査の貯蓄率は水準が大きく乖離(かいり)しているうえ、その動きが全く異なることがある。家計調査の貯蓄率は近年上昇傾向が続き、30%を上回ったのに対し、国民経済計算の家計貯蓄率は3%程度の水準で横ばいの動きとなっている(図1)。
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週刊エコノミスト
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