週刊エコノミスト Online 2040年の社会保障を考える

地方の医師不足を解消するには=森田朗

 医学部の人気は衰えないにもかかわらず、人口減少が続くわが国の地方では相変わらず医師不足が続いている。住宅付きで年俸数千万円という高待遇を提示しても、医師が来てくれず、医療崩壊が懸念される地域もあるという。

 地方における医師不足はかねてより課題であり、そのため、政府は、2007年からそれまで抑制していた医学部定員の拡大を認めた。拡大が認められたのは、主として資格取得後、地方で一定期間働くことを条件として入学させる地域枠である。

 地域枠を設けた結果、医学部定員は9500人ほどとなり、最近は、毎年約8000人医師が増えている。だが、昨年わが国で生まれた子供は92万人を切った。18年後には、100人に1人以上が医学部に進学できるようになる。今後急速に人口減少が進むことが確実なときに、そんなに医師を養成する必要はあるまい、という判断から全国的な定員は再び抑制する方向に向かっている。

残り2434文字(全文2826文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事