週刊エコノミスト Online書評

『移民とAIは日本を変えるか』 評者・池尾和人

    著者 翁邦雄(法政大学大学院客員教授) 慶應義塾大学出版会 2000円

    人口減少、市場縮小をめぐる議論のための基礎知識を提供

     日本経済にとって人口動態は、中長期的に最大の関心事である。一般には、出生数と死亡数の差による自然動態から、今後の日本の人口は減少の一途をたどると見込まれており、それに伴って国内市場は縮小し、経済の衰退が避けられないと考えられている。本書は、こうした「人口ペシミズム」に対する二つの異論を検討することをテーマとしている。

     一つ目の異論は、一国の人口は移入と移出の差による社会動態によっても変化するというものである。これまでは、外国人の入国超過数は限定的で、無視して構わないと考えられてきた。しかし、足元での実際の動きは、そうした想定を覆すものとなっている。実質的な移民の増加は、日本の人口減と高齢化の進展を大きく緩和する可能性がある。

    残り812文字(全文1190文字)

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