週刊エコノミスト Online書評

神格化された作曲家 今こそ真の再評価を=加藤徹

 現代の中国では「人民の音楽家」として絶対的な存在が2人いる。1人は国歌の作曲者で日本の鵠沼(くげぬま)海岸で溺死した聶耳(じょうじ)。もう1人は、中国最初の交響曲作曲家である洗星海(しょうせいかい)(1905~45年)だ。

 平居高志『洗星海とその時代』(アルファベータブックス、3500円)は、中国共産党が神格化した作曲家の生涯を丹念に追い、近現代史の激動を浮き彫りにする労作だ。

 洗星海は貧しい母子家庭の出だった。生活のためシンガポールに移住。学校で音楽の能力を評価された。援助を受け、広州や北京、上海で音楽を学んだ。

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