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週刊エコノミスト Online 書評

嫌韓記事が象徴する出版界の貧しさ=永江朗

『週刊ポスト』9月13日号が起こした騒動は、日本の出版ビジネスと雑誌ジャーナリズムが置かれている状況を、あらためて浮き彫りにした。

 問題となったのは同号のトップ記事「韓国なんて要らない」。表紙にも大きく記された記事タイトルがあまりにも安易だ。日韓の対立をことさら煽(あお)り立てている。

 同誌を発行する小学館は日本を代表する出版社である。系列の集英社や白泉社、祥伝社などとともに一ツ橋グループを形成し、ライバルの音羽グループ(講談社・光文社など)と覇を競ってきた。幼児誌や学年誌からファッション誌、コミック、辞書まで手掛ける総合出版社である。その小学館が看板雑誌の表紙や広告で「韓国なんて要らない」と宣言するのは冷静さを欠いている。

 今回の騒動では、編集部のわびる姿勢が軽いことも話題になった。書き手たちから批判の声が上がり、ネットなどで報じられると、同誌編集部はすぐさまおわびの文章をサイトに掲載した。しかし、雑誌の販売中止や回収は行わなかった。デリケートな問題を軽々しく報じ、批判が起きると十分な検証もなくすぐわびる。『新潮45』が休刊にいたったときとよく似ている。

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